
建築業界の変化は目まぐるしく、従来の常識や戦い方が通用しなくなっていることを感じている経営者は多いでしょう。特に、中小建築会社の社長にとっては、「隣の工務店」だけをライバル視している時代は終わりを迎えています。顧客像の変化に加え、競合環境も劇的に変わりつつある今、勝ち抜くためには新たな視点と戦略が必要です。
本記事では、YouTubeチャンネル「カチクラ電波 中小建築社長のための360°マーケ塾」のエピソード4-2「本当のライバルは“建築屋”じゃない。建築業界の常識が通用しない理由②」から、「競合の変化」に焦点を当てて解説します。顧客が賢者化しただけでなく、競合も異業種からの参入や新しいルールの持ち込みにより激変している現状を紐解き、これからの建築業界で生き残るためのヒントをお伝えします。
目次
- 目次
- 1. 顧客の変化と戦う競合の顔ぶれの変化
- 2. 異業種からの参入と新しいルールの持ち込み
- 3. 異業種参入企業の戦い方の具体例
- 4. 社内競争ルールの変化と専門特化・ニッチ戦略の加速
- 5. 専門特化の重要性と生き残るための戦略
- 6. まとめ:変化する顧客・競合・市場接点にどう対応するか
- 7. よくある質問(FAQ)
- 最後に
目次
- 顧客の変化と戦う競合の顔ぶれの変化
- 異業種からの参入と新しいルールの持ち込み
- 異業種参入企業の戦い方の具体例
- 社内競争ルールの変化と専門特化・ニッチ戦略の加速
- 専門特化の重要性と生き残るための戦略
- まとめ:変化する顧客・競合・市場接点にどう対応するか
- よくある質問(FAQ)
1. 顧客の変化と戦う競合の顔ぶれの変化
前回の放送で取り上げたように、現代の建築顧客は「情報武装した賢者」になっています。インターネットやSNSの普及により、顧客は自ら情報を集め、比較検討し、共感や物語性を求めるようになりました。この変化は顧客側だけでなく、競合環境にも大きな影響を与えています。
かつては、同じ地域の隣町にある工務店が主な競合相手でした。しかし現在では、あなたの隣にいるのは同じ建築屋だけではありません。異業種からの参入企業も競合として存在しているのです。
この競合の顔ぶれの変化は、単なるライバルの増加ではなく、競争のルール自体が変わることを意味します。これまでの常識が通用しない理由のひとつは、まさにこの「競合の変化」にあります。
2. 異業種からの参入と新しいルールの持ち込み
現在、ホームセンター、電化量販店、不動産会社、IT企業など、建築業界とは全く異なる業界の巨大資本が建築リフォーム市場に続々と参入しています。これらの企業は建築業界の暗黙のルールや常識を無視し、独自の戦略で市場に切り込んでいるのが特徴です。
例えば、建築業界では長年培われてきた営業や施工の流れ、顧客との接点の持ち方などがありますが、異業種からの参入者はそれらを一切気にせず、自社の強みを活かした新しいルールで顧客を獲得しています。
このため、建築業界の従来のルールや戦い方に固執していると、気づかぬうちに市場の主導権を奪われてしまう危険性があるのです。
異業種参入の背景
- 巨大資本による資金力と知名度の活用
- 自社業界での成功モデルを建築リフォーム市場に応用
- IT技術やデータ活用による顧客体験の革新
- 顧客接点のオンライン化・効率化
3. 異業種参入企業の戦い方の具体例
ここで、異業種参入企業の具体的な戦い方を見てみましょう。
電化量販店の場合
膨大な会員データを基に、リフォームを検討する顧客を狙い撃ちにします。ポイント還元やキャンペーンを活用し、契約を獲得する手法を取っています。これは、長年の顧客基盤とマーケティングノウハウを活かした戦略であり、建築業界の常識にはないアプローチです。
IT企業の場合
洗練されたアプリを用いて、見積もりから業者選定までをオンラインで完結させる顧客体験を提供しています。顧客はスマートフォンやパソコンから簡単に複数の見積もりを比較し、納得して契約できます。現場で汗を流す従来の工務店が対応しきれないデジタル対応力が強みです。
これらの異業種参入企業は、単に資本力や知名度だけが強みではなく、建築業界の既存ルールを無視し、新しいゲームのルールを持ち込んでいる点が最大の脅威となっています。
4. 社内競争ルールの変化と専門特化・ニッチ戦略の加速
また、競争のルールは外部からの参入だけでなく、社内でも大きく変化しています。かつてのように「新築もリフォームも何でもやります」という総合力が強みとされていた時代は終わりました。
情報武装した賢者化した顧客は、「何でも屋」ではなく自分の深刻な悩みを解決してくれる分野の最高の専門家を探しています。これは、建築業界の中小企業にとっては大きな変化です。
例えば、外壁塗装で絶対に失敗したくない顧客は、「外壁塗装専門」と明示している会社をまず探すでしょう。専門特化していることが信頼の証となり、選ばれるための必須条件になっているのです。
専門特化とニッチ戦略の重要性
- 価格競争からの脱却:専門性の高さで価格以外の価値を提供
- マーケットの絞り込み:特定分野・地域での圧倒的な強みを構築
- 差別化による顧客の共感獲得:深い悩みに応える専門家としてのポジション確立
- 大手との互角の戦いが可能に:小さな会社でも尖った武器を持てる
このように、専門特化とニッチ戦略は中小建築会社が生き残るための必須戦略となっています。これを持たない会社は、特徴のない大勢の一角として市場から静かに淘汰されていくでしょう。
5. 専門特化の重要性と生き残るための戦略
筆者自身も専門特化の重要性を身をもって体験しています。価格競争に巻き込まれないために、より専門性の高いニッチな分野へと自らを進化させてきました。その結果、小さな会社でも地域や分野で絶対に負けない鋭い尖った武器を持つことができました。
これからの時代においては、以下のような戦略が求められます。
生き残るための具体的戦略
- 自社の強みを見極め、専門分野を明確にする。何でも屋から脱却し、顧客の深刻な悩みに応える専門家としてのポジションを築く。
- 地域や分野でのナンバーワンを目指す。広く浅くではなく、狭く深く顧客との信頼関係を構築する。
- 新しい競合の戦い方を研究し、自社に取り入れる。ITやデジタルを活用し、顧客体験を向上させる。
- 資本力ではなく、顧客との信頼関係と専門性で差別化を図る。
- 常に市場の変化を観察し、柔軟に戦略をアップデートする。
このように、専門特化とニッチ戦略は単なる生き残り策ではなく、未来の建築業界で「選ばれる会社」になるための必須条件です。
6. まとめ:変化する顧客・競合・市場接点にどう対応するか
今回のポイントをまとめると、以下のようになります。
- 顧客は情報武装した賢者化し、より深い専門性を求めている。
- 競合は隣の工務店だけでなく、ホームセンター、電化量販店、不動産会社、IT企業など異業種からの巨大資本も含まれる。
- 異業種参入者は建築業界の常識を無視し、新しいルールで市場を変えようとしている。
- 社内競争ルールも変化し、専門特化とニッチ戦略が生き残りの鍵となっている。
- 専門性がない会社は市場から淘汰される可能性が高い。
- 次回の後編では、顧客と競合が出会う場=メディアや市場接点の変化について詳しく解説予定。
これらの変化を踏まえ、建築業界の社長は今一度自社の戦略を見直し、時代に即した戦い方を模索する必要があります。従来のやり方に固執することは、知らぬ間にビジネスの衰退を招くリスクがあるのです。
7. よくある質問(FAQ)
Q1: 異業種からの参入に対して、専門知識がなくても戦えるのですか?
A1: 専門知識がない異業種参入者は多いですが、彼らは自社の強みである資本力やデジタル技術を駆使して新しい戦い方を持ち込んでいます。従来の建築業の常識に固執せず、自社の専門性を磨きつつ新しい技術やマーケティング手法を取り入れることが重要です。
Q2: 専門特化はどのように見つければ良いですか?
A2: 自社の得意分野や過去の実績、地域のニーズを分析し、競合が手薄な分野や顧客の深刻な悩みに応えられる分野を見つけることがポイントです。顧客の声や市場調査を活用し、具体的なテーマを絞り込みましょう。
Q3: 価格競争に巻き込まれないためには?
A3: 価格以外の価値、つまり専門性や信頼、顧客体験を高めることが鍵です。専門特化による差別化や、顧客との信頼関係構築に注力し、安売り競争から脱却しましょう。
Q4: 次回の後編ではどのような内容が語られますか?
A4: 顧客と競合が出会う場、つまり市場接点やメディアの変化について詳しく解説されます。これにより、どのように情報を発信し、顧客との接点を持つべきかの最終結論が示される予定です。
Q5: どのようにして最新の競合情報や市場の変化を把握すれば良いですか?
A5: 業界ニュースや異業種の動向に常にアンテナを張り、顧客の声を直接聞くことが重要です。また、専門のマーケットナビゲーターやコンサルタントの意見を取り入れることも有効です。
最後に
今回の動画は、中小建築社長が直面する「競合の変化」という課題に焦点を当てました。顧客が賢者化し、競合が異業種から多様化する中、旧態依然とした戦い方では生き残れません。専門特化とニッチ戦略を軸に、柔軟かつ先進的な戦略を取り入れることが、これからの建築業界での成功の鍵となるでしょう。
次回の後編では、顧客と競合の出会いの場がどのように変わっているかを深掘りし、この時代を生き抜くための最終結論を語ります。ぜひお見逃しなく。
本記事が、あなたの会社の今後の戦略検討に少しでも役立てば幸いです。
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